立てている時間より、掘っている時間のほうが長い
フェンス工事の日程を聞いて、「そんなにかかるのか」と思われることがあります。
境界に細い柱が並んで、そこにパネルが載るだけに見えるからかと思います。
実際の順番はこうです。
既存の塀や仕切りがあれば、まずそれを撤去します。
次に、どこに柱を立てるかを地面に印で出します。
それから掘ります。
掘った穴に柱を入れて、コンクリートやモルタルで固めます。
固まるまで置きます。
最後にパネルを取り付けます。
この中で、外から見て「フェンス工事をしている」と分かるのは最後の工程だけです。
パネルが立ち上がるのは、規模によっては半日で終わります。
その前の、撤去して掘って埋め戻すところに日数のほとんどが入っています。
支柱は地面に差し込んでいるのではありません。
掘った穴の中で固めて、地中の塊ごと動かないようにしています。
フェンスは風をまともに受ける面なので、倒れないように支えているのは、地上に出ている柱ではなく地面の下にある部分です。
だから高さが上がるほど、掘る深さも穴の大きさも増えます。
腰くらいの高さで境界を仕切るメッシュフェンスと、視線を切るための背の高い目隠しフェンスとでは、同じ1メートルでも掘る量が違います。
料金表で高さによって単価が変わるのも、地上の材料の差だけではなく、この掘る量の差が入っているためです。
川口の外構でフェンスを立てる前に、地面の下を確かめる
掘るのが本体だとすると、次に問題になるのは「そこを掘っていいのか」です。
境界に沿ったラインの下には、いろいろなものが通っています。
水道の引込管、水道メーターが入った箱、汚水と雨水の桝(ます|地中の配管を点検するための蓋付きの口)、ガスの引込管、散水栓、エアコンの排水を流す管。
それから、前に建っていたブロック塀の基礎や、解体したときのコンクリートの塊が、地面の下に残ったままになっていることもあります。
川口の外構では、この地面の下の状態が敷地によってかなり違います。
川口市は2011年10月11日に旧鳩ヶ谷市を編入したので市域が南北に長く、駅前の分譲地から昔からの住宅地まで、敷地の成り立ちが場所によって違います。
区画されたばかりの土地と、建て替えを何度か重ねてきた土地では、同じ深さを掘っても出てくるものが同じではありません。
埼玉高速鉄道の鳩ヶ谷駅・南鳩ヶ谷駅のあたりのように、古くからの街道沿いに家が建て込んでいる地区と、あとから区画された住宅地とが混ざっている場所では、前面道路の幅も敷地の間口も一様ではないので、なおさら現地を見ないと決められません。
現地調査では、境界の角と一緒に、こうした蓋や箱の位置を見ています。
敷地を測る作業と、地面の下に何があるかを推し量る作業は、同時に進んでいます。
掘って何かが出てくると、柱の位置が動く
柱と柱の間隔は、製品ごとに決まった範囲があります。
パネルの長さがあるので、好きな位置に一本ずつ立てられるわけではありません。
掘ってみたら桝が出てきた、という場面では、その位置を避けて柱をずらします。
すると隣との間隔が変わり、パネルの割り方も変わります。
端に半端な区間が出て、そこだけ短いパネルを入れるか、逆側から割り直すかを決めることになります。
柱を寄せられない条件なら、その区間だけ基礎の形を変えて逃がす方法を採ります。
避けずに、桝の上に基礎を作ってしまうとどうなるか。
蓋が開かなくなります。
配管が詰まったときに点検できず、そのときはフェンスの基礎を壊して掘り返すことになります。
工事の直後は誰も困らないので、気づくのは何年か経ってからです。
これは避けたい失敗の代表格かと思います。
水道の引込管を割ってしまった場合は、その日の作業がそこで止まります。
水道の復旧が先で、フェンスは後回しです。
だから作業する側は、疑わしい場所では機械を使わず手で掘ります。
時間はかかりますが、当たったときに管を割らずに済みます。
コンクリートが固まるまでの日数は縮められない
柱を固めたあと、強度が出るまで置く時間があります。
ここは人手を増やしても縮みません。
固まりきらないうちにパネルを載せると、その重さと風で柱が傾きます。
傾いたまま固まると、あとから直すには基礎から作り直すことになります。
天候もそのまま日程に効きます。
掘った穴に雨水が溜まった状態ではコンクリートを打てないので、その日は水を抜いて終わることがあります。
土が水をよく含んでいると、掘った穴の側面が崩れてきて、掘り直しになる日もあります。
工期を決めるのは、部材をメーカーから取り寄せる期間、基礎が固まるまでの期間、そして天候の三つです。
フェンスは製品そのものの取り寄せが早く済むことがありますが、そのぶん残り二つの比重が大きくなります。
「組み立ては1日」と聞いていたのに1週間と言われた、という食い違いは、たいていこの待ち時間を数えているかどうかの差です。
着工前に自分でやれるのは、蓋の位置を写真に残すことまで
今日できることが一つあります。
フェンスを立てたい境界に沿って端から端まで歩いて、地面にある蓋・箱・栓を全部写真に撮ってください。
水道メーターの箱、汚水と雨水の桝の蓋、散水栓、エアコンの排水が出ている場所。
一つずつ寄って撮ったあと、境界のライン全体が入る引きの写真も1枚あると、位置関係が分かります。
そのうえで、蓋の中心から建物の角までの距離をメジャーで測って、写真と一緒に控えておくと確実です。
撮った写真だけだと、どのくらい境界から離れているかが読み取りにくいことがあります。
新築時の配置図や、給排水の図面が家に残っていれば、それも出しておいてください。
図面がなくても敷地はこちらで測りますが、地面の下は測れません。
図面があると、掘る前に配管のおおよその経路が分かります。
やらなくていいのは、試しに掘ってみることです。
位置を確かめるつもりで掘って管に当たると、その復旧が別の工事になり、日程も延びます。
蓋は開けなくて構いません。
上から見える範囲を写真に残すところまでで十分です。
この一手間があると、現地調査の段階で柱を立てられる位置の見当が付き、掘ってから配置を変える回数が減ります。
日数が読みやすくなるのは、その分です。
この記事に関するよくあるご質問
- フェンスだけの工事なのに、なぜ何日もかかるのですか
- 支柱を掘った穴にコンクリートで固めるため、それが固まるまでの時間が日程に入ります。
パネルを取り付ける作業そのものが短くても、その前に既存の撤去、位置の墨出し、掘削、基礎という工程があります。
雨が続くと掘った穴に水が溜まり、その日はコンクリートを打てません。
日数は現地調査のあと、お見積もりと一緒にお出しします。 - 地面の下に配管があると、フェンスは立てられませんか
- 立てられないわけではなく、柱の位置や基礎の作り方を変えて避けます。
ただし柱の間隔が変わるとパネルの割り方も変わるため、掘る前に位置が分かっているほど、その場での作り直しが減ります。 - 着工前に自分で確かめておけることはありますか
- 境界に沿って歩いて、水道メーターの箱、汚水と雨水の桝の蓋、散水栓の位置を写真に撮っておいてください。
新築時の配置図が残っていれば、それも一緒に見せていただけると位置の当たりが早く付きます。
試しに掘る必要はありません。