塀を壊す前に、その塀が誰のものかを確かめる
古くなったブロック塀を壊して、フェンスに替えたい。
ひびが入っていて、地震のときに倒れないか気になる。
そう考えて調べ始めると、最初に引っかかるのが「この塀は自分の判断だけで壊していいのか」という点ではないでしょうか。
答えは、塀が立っている位置で変わります。
民法229条には、境界線上に設けた境界標、囲いや塀、溝、堀は、隣り合う土地の所有者の共有に属するものと推定する、と書かれています。
ブロック塀もここに入ります。
つまり境界線の上にまたがって立っている塀は、特別な事情が無いかぎり、自分と隣家の二人のものとして扱われます。
「推定する」は、そうでないと示す材料があれば覆るという意味です。
塀を建てたときの取り決めを書いた書面などがこれにあたります。
反対に、材料が何も無いまま自分のものだと決めて壊すと、あとで隣家と話がこじれるもとになります。
一方で、塀が境界線よりはっきり自分の敷地の内側に立っているなら、この推定の話にはなりません。
ですから最初にやるのは、条文を読み込むことではありません。
境界線がどこを通っているかを、現地で目で確かめることです。
境界杭と塀の中心を見比べる
境界線は、地面に線が引かれているわけではありません。
手がかりになるのは、敷地の角や折れ曲がる点に打たれている境界標です。
境界標とは、境界の位置を示すために地面に埋める目印のことで、コンクリートの杭、金属のプレート、鋲などの形があります。
頭の部分に十字や矢印が刻まれていて、その交点や矢印の先が境界の点を指しています。
塀の端の足元、道路に面した角、敷地の奥の角を順に見ていくと、見つかることが多いかと思います。
塀の下に半分隠れていたり、土や砂利をかぶっていたりするので、表面を軽く払ってみてください。
2か所の境界標が見つかったら、その2点を結んだ線が境界線です。
そこで、塀の厚みのどこをその線が通っているかを見ます。
見え方はおおむね次の3つに分かれます。
- 境界線が塀の厚みのほぼ真ん中を通っている
- 境界線が塀の隣家側の面に沿っていて、塀は自分の敷地に収まっている
- 境界線が塀の自分側の面に沿っていて、塀は隣家の敷地に立っている
一つ目は、民法229条の推定がそのまま当てはまる形で、共有の塀として話を進めることになります。
二つ目は自分の敷地の中の塀なので、壊すかどうかは自分で決められる範囲に入ります。
それでも工事の音やほこりは隣家側にも届くため、着工前にひとこと伝えておくと、あとが穏やかです。
三つ目は隣家の塀なので、こちらから手を入れる対象ではありません。
目測ではなくメジャーで測る
見比べるときは、目で見た印象ではなく数字で判断します。
境界標の中心から塀の自分側の面までをメジャーで測り、塀の厚みも測っておきます。
測った距離が厚みの半分くらいなら一つ目、厚みと同じくらいなら二つ目、ゼロに近ければ三つ目と読めます。
あわせて塀の足元も見ておきます。
ブロック塀の下には基礎のコンクリートがあり、地中で塀より幅広く広がっていることがあります。
見えている塀が自分の側に収まっていても、基礎が境界を越えていれば、壊すときに隣地側の地面を掘ることになります。
境界標が見つからないときに手元で確かめるもの
境界標が無い、あるいは片方しか見つからないこともあります。
塀を建てたときに杭が埋もれたり、その後の工事で上に何かが載ったりして、見えなくなっている場合です。
そのときは、家を買ったときや建てたときの書類の中に、敷地の寸法や境界点が描かれた測量図が無いかを探します。
図面に境界点から建物までの距離が書かれていれば、建物の角から測り返して、境界線のおおよその位置を割り出せます。
ただし、これはあくまで目安です。
数センチの違いで塀の中心にかかるかどうかが変わる場面では、図面からの割り出しだけで決め切るのは危ういと思います。
境界がはっきりしないまま隣家と話し始めると、塀の話が境界そのものの話にふくらみがちです。
杭が見つからない場合は、境界の位置を専門家に確かめてもらうことを先に考えたほうが、結果的に早く進むことが多いです。
共有かもしれない塀は、壊す前に隣家と決めておく
境界線が塀の中心を通っていて、共有の可能性が高いと分かったら、工事の段取りより先に隣家との話し合いが来ます。
決めておきたいのは次のようなことです。
- 塀を壊すかどうか、壊したあとに何を立てるか
- 新しいフェンスや塀を境界線上に立てるか、どちらかの敷地の内側に立てるか
- 費用をどう分けるか
このうち二つ目が、あとあとまで効いてきます。
境界線上に立て直せば、新しいフェンスも共有と推定される位置に立つことになり、将来また手を入れるときに同じ相談が要ります。
自分の敷地の内側に下げて立てれば、その後の手入れや建て替えは自分の判断で進められる代わりに、そのぶん使える敷地が狭くなります。
どちらが合うかは、隣家との関係や塀の向こう側の使われ方で変わります。
話がまとまったら口約束で終わらせず、決めた内容を簡単な書面に残しておくと、どちらかの家の持ち主が代わったときにも経緯が伝わります。
川口の外構工事で、塀のまわりを見るときの順番
川口お庭・外構工事では、フェンス・目隠し・ブロック塀の工事をお受けしています。
既存のブロック塀を壊してフェンスに替えるご相談では、現地調査のときに、塀の寸法より先に境界標の位置を確かめます。
そのあと、境界標と塀の位置関係、基礎が地中でどこまで出ているか、新しく立てるものを境界線からどれだけ離すか、の順に見ていきます。
ブロック塀の積み直しや解体は、既存の塀の解体量と高さで金額が変わるため、料金表には金額を載せていません。
現地を見てからお見積りをお出しします。
壊したあとにフェンスを立てる場合、境界の仕切りならメッシュフェンス H800 が1mあたり10,000円、視線を切るならアルミ形材の目隠しフェンス H1200 が1mあたり23,000円です(いずれも本体+標準工事の総額・税込)。
塀が共有かどうか、どう立て直すかを決めるのは、隣り合う二軒の間の話です。
私たちは、どこに何を立てればどちらの敷地に収まるかを、図面の上でお示しします。
今日やること:境界標を探して、塀との距離を測る
塀を壊したいと思ったら、まず次の3つをやってみてください。
- 塀の両端と敷地の角で境界標を探し、見つかったものを写真に撮る
- 境界標の中心から塀の自分側の面までの距離と、塀の厚みをメジャーで測る
- 測った数字をメモにして、写真と一緒に残す
写真は、境界標の頭の刻みと塀の足元が1枚に収まる角度で撮ると、あとで見返したときに位置関係が分かります。
この3つが手元にあれば、隣家と話すときも業者と話すときも、同じ材料から始められます。
この記事に関するよくあるご質問
- 境界線の上に立っているブロック塀は誰のものですか
- 民法229条では、境界線上に設けた塀などは隣り合う土地の所有者の共有に属すると推定しています。
推定なので、塀を建てたときの取り決めの書面など、そうでないと示す材料があれば覆ります。
材料が無ければ、自分と隣家の二人のものとして扱われます。 - 塀が自分のものか共有かは、どうやって見分けますか
- 敷地の角などにある境界標(境界杭)を2か所探し、その2点を結んだ線が塀の厚みのどこを通るかを見ます。
境界標の中心から塀の自分側の面までの距離を測ります。
塀の厚みの半分くらいなら共有の形、厚みと同じなら自分の敷地に収まっている形、ゼロに近ければ隣家の敷地に立っている形です。 - 境界杭が見つからない場合はどうすればよいですか
- 家を買ったときや建てたときの書類に測量図が無いか探し、境界点から建物までの距離をもとに境界線のおおよその位置を割り出します。
ただし数センチの違いで判断が変わる場面では目安にとどまるため、境界の位置を専門家に確かめてもらうことを先に考えたほうが早く進むことが多いです。